〜既刊になっている単行本の文庫版。ライザ・ダルビー女史のThe Tale of〜〜 Murasakiの翻訳です。日本文学に造詣が深いとはいえ、異国の作家が平安時代を描写して見せたこの作品には感心させられます。物語は、紫式部の娘・賢子(第弐三位)が母・紫式部の手記を見つけたという設定で、その半生が物語られる設定になっています。少女時代、唐土の若者とのロマンスなど結構大胆に綴られます。中宮・彰子に召されてからの宮廷の描写なども〜〜面白い。紫式部日記の記載や史実を巧みに織り交ぜて楽しく読めます。特に清少納言、和泉式部、赤染衛門、伊勢大輔などの同僚の批評などがそう読めます。 また、源氏物語と寄り添うように話が進められていくので、源氏物語を読んでいると、いっそう楽しく読めます。末摘花、帚木の「雨夜の品定め」、「朧月夜」などを織り込んでいるので、知っていると「ああ〜〜、ここはこれか」と思います。下巻に源氏物語の失われた最後の章というかたちで五十五帖目「稲妻」を創作しています。源氏の読者には賛否がわかれるかも。それにしても、このような作品なら日本の女流作家(田辺聖子さんあたり)に出して欲しかったとも思います。ちょっと悔しい。〜